バブルの代償は誰も払ってくれない。

この日行きの新幹線の中でサッカーJ+を読む。


今回は監督別プレーエリア一覧表
(試合中ベンチ〜テクニカルエリアのどの辺に居て
 指示を出しているかを図示したもの)
という大ヒット企画をはじめ、広島盛田のDF転向など
深く踏み込んだ記事を見せてくれていて満足度は高かったわけですが
今回も下部リーグ絡みで思うところがあったわけで。


何度もここで書いてきてはいるが、
この雑誌の良い所は下位カテゴリーまでカバーして
伝えてくれているところであり、
悪い所はその情報が偏っているために
Jリーグに上がることこそが全てだという観点を
多くのサッカーファンに与えているという点だと思っている。


今回の記事の中で最も気になった一文があった。


YKKアローズ北陸。富山にあるJFL2チームを取り上げた記事の中で
あったアローズ北陸の幹部の言葉で
毎試合のように来てくれるサポーターから
Jに上がると言えばもっとお客さんは集まるのにと言われるというもの。


確かに今目の前に見える現状に対して否定をする気はない。
関西リーグでさえ、気が付けばバンディオンセのレプリカを着た
サポーターが姿を見せ始めている。
#聞けば去年から現れ始めたとか…。
笛を吹けば人は踊る。Jリーグという笛を吹けば。
誰だってJリーグに上がると言えば簡単に
お客さんが増えることくらいは分かっている。
一度上がってしまえば、チームを作ってしまえば何とかなるという予感も
あるというのも分かっている。
#先日競技は違えど仙台でその現実を見てきた訳だし…。


でも、それは本当に足元を見つめてやっていることなのか。
簡単なことに流されて、本当に必要な地域のサッカー振興、
スポーツ振興に貢献していくことを見失っていないか。
富山の2チームは少なくとも足元を見つめながら
前に進もうとしているとあの記事からは感じられた。
性急な結果を求めるのが今のサポーターの姿なのならば
それは寂しい現実ではないかと。


でも、富山はまだ幸せなのかもしれない。


同じ誌面の中で取り上げられていたツエーゲン金沢
このチームの記事から受け取られた空気は
チームのスタッフもサポーターも皆が性急な結果を求め
笛の音に踊らされている、そんな空気であった。


別に金沢がどうという訳ではない。
過去のこの雑誌で同じように取り上げられたチーム全てが
同じ空気に満ちあふれているのだから。
運良く躓かずにJリーグまで辿り着くことが出来ればまだまし。
もし何年か地域決勝で勝てずに立ち止まったりすれば…。
何をこのチーム達は地元に残すことが出来るのだろうか。


金沢について取り上げたライターは


「その国のフットボール文化は下部リーグにこそ内在する」


と、主張している。それはある意味間違ってはいないだろう。


でも、その文化はJリーグという金脈に群がるだけの
空虚なものになってはいないだろうか。
そしてそれをしたり顔で伝えることに何の価値があるだろうか。
もっと日本のサッカーのために考えることがあるんじゃないだろうか。
そんなことを感じずにはいられなかった。